00000JAPANで災害時の通信を支援
2025/02/17
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00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)とは
00000JAPANは、大規模災害時に被災地域住民向けに無料開放される公衆無線LANサービスです。災害時の情報伝達手段の1つとして、避難所や安否確認などの災害関連情報の提供を目的とした災害用統一SSIDで、多くの端末ですぐにその災害時用Wi-Fiを探せるように、使用可能なSSID一覧の最上部に表示されるように設定された名称です。
「00000JAPAN」が生まれた背景
2011年に発生した東日本大震災では、被災地の通信網も大きな被害を受け、多くの人が携帯電話の不通により安否確認や情報収集ができない状況に陥りました。
この経験をきっかけに、「一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会」が主体となり、災害発生時に公衆無線LANサービスを開放する取り組みが進められ、携帯電話事業者を問わず利用可能な災害時統一SSID「00000JAPAN」が制定されました。
00000JAPANはどこで、どんな時に使える?
00000JAPANは、大規模な地震、台風、洪水などの自然災害が発生し、通常の通信インフラが機能しなくなった場合に提供されます。
2016年3月に起きた熊本地震では商用初の00000JAPANによる無料開放が行われ、九州全域で約55,000台のアクセスポイントが開放されました。
また、2024年1月に起きた能登半島地震でも00000JAPANが開放され、多くの人に利用されました。
サービスの提供元と運営者
00000JAPANのガイドラインを制定し運営している「一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会」は、災害時に00000JAPANの開放を行う通信キャリアや自治体等で構成される「サービス提供事業者」と、00000JAPANを提供するにあたって適格な機器装置を製造・提供する「機器装置提供事業者」によって会員構成されています。
運営にあたっては、総務省などの行政機関とも密接に連携しており、緊急時の通信環境の維持を目指しています。
(リンク)一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会
災害用統一SSID「00000JAPAN」について
https://www.wlan-business.org/00000japan/
00000JAPAN開放までの流れ
00000JAPANを利用するためには、00000JAPAN認定事業者に登録する必要があります。00000JAPANにあたっては、各サービス提供事業者が、被災状況や復旧の見通しに応じて、00000JAPANの発動および停止を判断することになります。方針が決定した後には、サービス提供の周知を行うため、無線LANビジネス推進連絡会への報告は行うことが求められています(自然災害以外の通信障害を契機とした場合の流れでは、事前報告が望ましいとされています)。どのような運用フローで00000JAPANの発動をするかは、各サービス提供事業者に委ねられておりますので、ここでは参考までに運用例が掲載されている無線LANビジネス推進連絡会のガイドラインをご紹介いたします。
(リンク)一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会
00000JAPANガイドライン
https://www.wlan-business.org/00000JAPAN/guideline/
キャリアの通信障害発生時にも開放可能に
2023年5月のガイドライン改訂により、00000JAPANは自然災害時だけでなく、通信障害発生時にも開放されるようになりました。
スマートフォンやキャッシュレス決済の普及に伴い、インターネットは日常生活に欠かせない存在となっています。通信障害が社会に与える影響は大きく、自然災害時と同程度の影響が及ぶ場合もあります。
日常の通信トラブル時にも重要な役割を果たすことが期待されています。
00000JAPAN利用と提供にあたって
サービス利用者
00000JAPANは災害時の緊急用サービスであり、被災地で誰でも使えるという利便性を優先するため、通信の暗号化は行っていません。
暗号化されていない通信は悪意のある第三者によって傍受される可能性があります。総務省のガイドラインでは、IDやパスワード等個人情報の入力が必要なログインは避け、基本的な情報収集や連絡手段として利用を促しています。
また、安全性を高めるために、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用や、HTTPS接続のウェブサイトのみの利用が推奨されています。
サービス提供者
セキュリティリスクを孕むオープンWi-Fiにおいて、利用者に安心して00000JAPANを利用してもらうためには、提供者側で適切な対策が求められます。例えば、00000JAPANを提供するにあたって、提供者は社内Wi-FiとゲストWi-Fiを分離し、部外者が社内データにアクセスできないようにする、ネットワーク分離対策は、不特定多数のアクセス環境でも安心・安全なネットワークを担保することにつながります。
また、Enhanced Openの設定が可能であれば、オープンWi-Fi環境でも常にAES暗号化処理された通信をユーザに提供でき、よりセキュリティを強化することも可能です(Enhanced Openに非対応の端末もあるため、オープンWi-Fiと併用して提供すること)。
(リンク)総務省ガイドライン
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/wi-fi/
00000JAPAN認定メーカー
00000JAPAN認定事業者(機器装置提供事業者)は、2025年1月現在、108団体が加盟しています。これらの企業は、災害時に通信支援を行うための製品や技術を提供する重要な役割を担っています。
D-Linkもまた、00000JAPAN認定事業者の一員として、高品質な通信機器の提供を通じ、被災地における安定した通信環境の構築を支援していくとともに、災害時の安心を支える取り組みを推進しています。
(リンク)00000JAPAN認定事業者一覧
https://www.wlan-business.org/00000japan/registers
D-Linkの避難所Wi-Fiソリューション
総務省はWi-Fiを災害時利用だけなく、平時利用も兼ねたリバーシブルな運用を推進しています。多くの自治体や官公庁などで、平時に学校Wi-Fiや観光Wi-Fiとして提供している機器を、災害時には避難住民向けのWi-Fiとして開放する取り組みが行われています。
D-Linkでは自社のクラウド型ネットワーク管理サービスを使用した「避難所Wi-Fiソリューション」としてご提案しています。遠隔から多拠点・多台数のネットワーク機器をモニタリング、設定管理できるため、災害時に公民館など地域に点在するWi-FiのSSIDを一斉に00000JAPANに変更することができます。
(リンク)D-Linkの避難所Wi-Fiソリューション
/solution/market_sol/emergency-free-wifi-for-disaster-relief.html
自治体の活用事例
多治見市教育委員会様
00000JAPANの提供自治体として、多治見市をご紹介します。
多治見市では、公立学校における教育環境の充実、併せて情報セキュリティ強化と
発災時の避難者への情報通信の確保などを目的として無線LANの整備を進め、その整備機器としてD-Linkのクラウド管理型無線LAN機器を採用いただいております。
(リンク)
多治見市教育委員会様 導入事例
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まとめ
「00000JAPAN」は、災害時・大規模な通信障害時に開放される公衆無線LANサービスで、被災地での情報収集や安否確認を支援するために提供されます。2011年の東日本大震災を契機に、「一般社団法人 無線LANビジネス推進連絡会」が主体となり、災害統一SSIDのガイドラインを制定。00000JAPAN認定事業者である携帯電話事業者や機器提供事業者が協力し合い、サービスを運営しています。