国立大学法人 鹿児島大学
大学・研究機関
国立大学法人鹿児島大学は江戸時代に開かれた藩学「造士館」が起源とされ、実に230年にも及ぶ歴史を持つ。進取の気性を今も引き継ぎ、人類社会の発展の基礎となる「知の創生とその継承」を使命として人材の育成や研究に力を注いでいる。現在は8学部10大学院研究科で構成され、約12,000名の学生が学ぶ。代表されるキャンパスは郡元キャンパス、下荒田キャンパス、桜ヶ丘キャンパスの鹿児島市内3ヶ所である。また、国際的視点を重視する一方、地域社会に密着し、その発展に貢献することを目指している。また鹿児島という立地を活かし、東南アジアや南太平洋島諸国との学術交流も盛んで、学生のうち約400名を留学生が占めている。
〒890-8580 鹿児島市郡元1-21-24
D-LinkのL2スイッチ270台を導入し鹿児島大学全学部を結ぶネットワークの
完全リニューアルを実施
鹿児島大学は、2009年にキャンパス情報ネットワークの大幅なリニューアルを実施した。各学部ごとにL3スイッチを配したネットワーク構成を根本から見直し、全学を高性能なL2スイッチで結ぶフラットなスター型ネットワークへと生まれ変わった。拡大するネットワーク利用に安定した高性能で応えるのは、D-LinkのL2+スイッチ約270台だ。高速かつ管理負荷の低いネットワーク実現に、一役買っている。
<POINT>
WDM対応の光ケーブルを使った4Gbpsの高速通信でビル間、キャンパス間を接続
ループバック検知、自動ポート遮断によるネットワークの輻輳回避
研究室で独自に設置されるDHCPを検知し設定ミスの迅速な検出を実現
構築から7年以上を経たネットワークの全面更新に伴い構成や機能要件を刷新
鹿児島大学が敷設から7年以上を経たネットワークのリプレースに取りかかったのは、2007年のことだ。使用年数が長く、使用機器の保守が困難になりつつあったのが直接のきっかけだったが、リプレースに伴い、構成の根本的な見直しも行なわれることになった。
旧学内ネットワークではネットワーク全体の輻輳を避けるため、部局ごとにL3スイッチを設置していた。この構成のために機器点数が多く、運用管理は煩雑だった。例えば、研究室に設置されたスイッチや情報コンセントの配線ミスから、ループバックが発生することが年に数回ほどあったが、L3スイッチを介しているため発生源のMACアドレスを容易に特定できず、対応に数時間、長いときでは数日間を費やしていた。また、情報コンセントに接続したPCが研究室のローカルネットワークに接続されることもあった。研究室単位で導入されたDHCPサーバの設定ミスが原因だが、こちらも発生源の特定が難しく、解決に長時間を要することがあった。これらを解消すべく、ネットワーク全体をL2でフラット化し、シンプルなスター型ネットワークへと変更されることになった。
サブネットワークに分割しなくても十分な帯域を確保できるよう、WDM対応の光ケーブル増設や、高速スイッチの採用を前提としていた。新たなネットワークを構成する機器にはループバックの自動検知と並び、WDMに対応し、4Gbps以上で接続できる性能が求められた。
低コストながら要件を十分に満たす性能さらに他大学での導入実績が後押しに
鹿児島大学が資料提供招請を行ったところ、入札参加各社から寄せられた提案の中に、D-Linkのスイッチを学内全学部に採用する案があった。仕様を満たす性能と手頃な価格に魅力を感じ、D-Link製品に関して独自に情報収集も行なったところ「国内の大学法人での採用も多く、性能、安定性ともに信頼できるものである」と確信したという。特に独立行政法人 情報通信研究機構北陸リサーチセンターでの大規模な導入実績などが、後押しになった。また、入札では、コストパフォーマンスが高いことも評価された。
機器選定した、西日本電信電話株式会社の鹿児島支店が落札し、ネットワーク構築作業は2009年の夏休み期間を利用して実施された。各キャンパス間、ビル間のネットワークもすべてリプレースされ、コアスイッチとエッジスイッチ間はWDM対応の光ケーブルで結ばれた。すべてのエッジスイッチがコアスイッチと光ケーブルで直接接続されるスター型ネットワークで、安定稼働のためコアスイッチは冗長構成が採られている。導入されたD-Linkのスイッチは全部で270台余りにものぼる。
ループバック検知などの新機能によりネットワークの安定度が格段に向上
新ネットワークは、2009年9月から本格稼働を開始した。ネットワークの大幅変更に伴う設定変更に時間を要したものの、ごくスムーズな滑り出しだった。ループバック検知機能も期待通りの効果を発揮しているという。また、要件には含まれていなかったものの運用負荷軽減に大きく貢献している機能もある。ネットワーク上に勝手に設置されたDHCPサーバを検知する機能だ。要件定義の段階では、L2でフラット化すれば対策が容易になるため、専用の機能としては要件に盛り込まれていなかったものだった。
各機能の効果により、学内ネットワークの安定度は旧ネットワークに比べて格段に増した。管理を担当する職員からは「学生や教員からの苦情が非常に少なくなったことが、安定度の裏付け」だという声も聞かれる。ネットワーク基盤の安定度が増し、次なる目標には性能拡大が掲げられた。「近年、ストリーミングの利用が増加しています。ストレスなく利用できるだけの帯域を確保し、研究に使いやすいネットワークを目指し続ける」という目標に向け、鹿児島大学の進化はこれからも続くようだ。
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