山形県 天童市(無線LAN)
自治体
遠い昔に天から二人の童子が舞い降りたという言い伝えの残る天童市は、東に蔵王連峰を望み、西に霊峰月山を仰ぐ美しい自然環境を持つ人口約6万2000人の地方公共団体。伝統工芸として国産の95%を占める将棋の駒の生産や、市内の舞鶴山(天童城跡地、舞鶴公園)で開催される天童桜祭りの人間将棋などで知られる。近年はサクランボやシャインマスカットなどの特産フルーツがふるさと納税返礼品の人気ランキングで殿堂入りを果たすなど全国から注目を集めている。
〒994-8510 山形県天童市老野森1-1-1
山形県天童市が市庁舎内を無線LAN化
本稼働後は業務効率向上と会議でのペーパーレス化を図り
管理者の負担軽減とトラブル解決の迅速化にも期待
山形県天童市では、職員がLGWAN(総合行政ネットワーク)とインターネットに接続する業務用ノートPC約600台の更新に合わせて、市庁舎内に無線LAN環境を構築するプロジェクトに着手した。コストパフォーマンスの高さやエンタープライズレベルの高機能と高品質、充実したメーカーサポートを選定理由に、D-Linkのオンプレミス型無線LANコントローラと、D-Linkのトライバンド高速アクセスポイント(AP)を組み合わせた基盤を採用。本格稼働後は、業務可能エリアの拡大と業務効率の向上、管理者の運用負担の軽減などを図っていくほか、将来的には行政サービスの向上も目指すという。
<POINT>
無線化による会議のペーパーレス化など業務効率化や利便性向上を図る
無線化による情報システム担当の負担軽減とトラブル原因特定の迅速化に期待
今後、窓口へもPC・タブレット配置を予定し行政サービスの向上を目指す
業務効率化と管理者負荷軽減のため
無線LAN大規模導入を本格的に検討
山形県の東部に位置する天童市は、「将棋駒」と「ラ・フランス」の生産量が日本一で、天童温泉を有する「いで湯のまち」としても知られる。面積は県内13市中で最小ながら、人口は5番目に多い約6万2000人を有し、教育・医療・商業施設などの都市機能が充実しているのが特長だ。その天童市役所では、2021年10月の本番稼働を目指し、無線LAN導入プロジェクトを実施している。山形県天童市 総務部総務課情報システム係 金村 雄司氏は「天童市の本庁舎と、教育委員会庁舎、天童市健康センター、及び天童市上下水道事業所が、LGWANとインターネットで利用している業務用端末(ノートPC)約600台の保守期間終了に伴う更新に合わせて、庁舎内に無線LAN環境を構築することとしました」と語る。
その無線LANインフラとして天童市が選んだのは、D-Linkのオンプレミス型無線LANコントローラ「DWC-2000」と、D-Linkの高い収容能力で安定通信が可能なトライバンド高速AP「DWL-7620AP」を組み合わせた運用基盤だった。当初の計画では、庁舎内の会議室にだけ無線LANを導入する予定だったという。従来の会議はすべて紙ベースで行われており、印刷したファイルを持ち歩いていた。これを無線LAN化によって、会議の場に職員が自席で使っているPCを持ち込むようにすれば、紙を大量に印刷する必要がなくなり、ペーパーレスによるコスト削減や環境負荷軽減につながる。いろいろと効率化が可能と考えたという。「その後、無線LAN化について改めて試算してみたところ、想定していたよりも費用が抑えられることが分かり、会議室以外にも展開できるのではという話になりました。そこで、PCの入れ替えを契機に、無線LANの大規模導入を本格的に検討しました」と金村氏は説明する。
また、有線LANの無線化は金村氏が所属する情報システム係の業務負担も軽減すると期待された。これまでは、異動や配置転換のたびに情報システム係がLAN配線の引き直し作業を行っていたが、終日かかってしまうことも多かったという。さらに、これまでは各部署に必要な台数のPCを配付していたため、職員が異動する際には環境の再設定やデータの引っ越し作業が必要となり、職員の大きな負担になっていた。全庁で無線LAN化ができれば、職員個人にPCを配付する方式に変更し、自分専用のPCと一緒に異動できる。情報システム係が行っていたLAN配線の引き直し作業もほぼ不要になるという。
市の要件を充分に満たす機能性と
価格競争力の高さでD-Linkを提案
天童市の無線LAN導入プロジェクトにD-Linkを提案したのは、東北地方・北海道を中心にサイバーセキュリティやクラウドサービスを提供する株式会社ハイテックシステム(以下、ハイテックシステム)だ。提案理由には主に3つの優位性があったからだという。
1つ目は、エンタープライズレベルの高機能と高品質。D-Linkの無線LANコントローラは、Radius認証に対応。ネットワーク上のAPを一元的に集中管理し、チャネル配分を混雑状況に応じて自動で最適化するとともに、出力も自動で調整する。職員の約600台のPCに対し、常に高品質で信頼性の高い無線LAN環境を提供できると考えた。万一、無線LANコントローラとの接続が不調になった場合でもAPが継続運用を行うという、業務継続性の面でも注目したそうだ。
2つ目は、価格競争力の高さ。応札ベンダーの中で最もコストが抑えられていたほか、無線LANコントローラ、AP、スイッチのトータルコストも予想より低かったため、全庁無線LAN化へのきっかけにもなったという。ハイテックシステム サイバーセキュリティグループ NOCチーム 髙橋 佑希氏は、「会議室の無線LAN導入から全庁無線LAN整備に向けた仕様変更にあたり、機能・品質・運用のしやすさ・手離れの良さ・コストパフォーマンスなどをトータルに分析すると、自信をもって提案できたのはD-Linkの製品だけでした」と振り返る。
3つ目は、充実したメーカーサポート。天童市では、IT機器を5年リースで利用しており、最短5年間は継続運用可能な製品であることを導入の条件としている。D-Linkの製品にはリース期間(5年)以上の保証期間がある点を、ハイテックシステムは評価したという。
業務エリア拡大と業務効率化に加え
管理者の運用負担の軽減にも期待
無線LANは2021年10月から本格稼働する。想定する導入効果は主に次のようなものがあると金村氏は考えている。第1に挙げられるのが、業務可能エリアの拡大と業務効率の向上。現在は有線LANでPCが固定されているが、今後は電波の届く範囲なら、場所に束縛されない柔軟で臨機応変な業務を遂行できる。例えば、紙資料がファイリングされているキャビネット付近で資料を見比べながら業務を行ったり、他部門にPCを持ち込んで打ち合わせをしたりできる。また、今後の会議では電子ファイルを共有しながら、意思疎通の迅速化とペーパーレス化も可能になると見ている。
第2に想定できるのが、管理者の運用負担の軽減。これまでは島ハブ(机の集合や列ごとに配置される集線装置)の管理ができておらず、ループやトラブルが発生した際にも上位スイッチから当たりをつけて障害発生箇所の切り分けをしており、復旧に時間がかかることも多かった。金村氏は、「これからは無線LANコントローラでAP全体の集中管理が可能になるため、どのAPにトラブルが発生しているかがすぐに可視化でき、原因特定に費やす時間も大幅に短縮できると思っています」と話す。
そして、第3に挙げられるのが、行政サービスの向上。現在は市役所の窓口にPCを配置しておらず、申請書なども手書きだが、今後は窓口にもノートPCを配置すれば、画面を見ながら入力や印刷が可能になると金村氏は考えている。「さらにタブレットを活用すれば、お体の不自由な方へのサービス向上なども可能になるかもしれません」と金村氏は述べる。
将来的には、無線LANの導入範囲を公民館や消防本部などの出先施設まで拡大し、天童市の関連施設は基本的に本庁舎と同じような無線LAN環境にしていくことも視野に入れている。「まずは無線LAN活用の推進と、無線LANコントローラの運用に集中しなければなりません。そのためにも、ハイテックシステム様とディーリンクジャパン様には引き続き手厚いサポートをいただけるよう願っています」と金村氏は語る。
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