岡山県 倉敷市

自治体

岡山県の南部に位置する倉敷市は、隣接する岡山市に次ぐ人口約47万人を擁し、岡山都市圏の重要な一翼を担う都市だ。市の象徴的な存在である倉敷美観地区は、江戸時代からの白壁の蔵や伝統的建物が残る観光スポットとして知られ、昔ながらの風情が残る歴史的な場所として、国内外から観光客を惹きつける。
また、水島地区では瀬戸内工業地域の中心として石油コンビナートなど重化学工業が盛んで、西日本を代表する工業都市としての顔も持つ。

〒710-8565 岡山県倉敷市西中新田640

倉敷市の庁内LANと拠点間ネットワークをD-LinkのギガビットL2+スイッチ 約700台で更改
管理性や安定性を高く評価

 岡山県倉敷市役所(以下、「倉敷市」)では、コアスイッチと拠点間を接続する機器は2020年度に、庁内LANは2023年度に公募型指名競争入札で調達した。この両ネットワークのエッジスイッチとして、D-LinkのギガビットL2+スイッチ「DGS-3000-20L」が、約700台導入された。機器の老朽化に伴う入れ替えが主な理由だという。倉敷市の自治体LANの中で「DGS-3000-20L」がどのように使われているのか、以前と比べてどのような点で変化があったのかなど、倉敷市情報政策室の林氏に話を伺った。

<POINT>

  1. 庁内LANのエッジスイッチを高速化

  2. 重要視していたファンレス要件とマグネット要件

  3. 安定稼働する約700台のエッジスイッチ

導入製品紹介

DGS-3000-20Lは、10/100/1000 BASE-T×16ポート、SFP×4スロットのギガビットL2+スイッチだ。ファンレス、50℃対応、コンパクトな筐体サイズなど、オフィス内での使用にも適しており、更に802.1x認証、MAC認証、WEB認証および1ポート配下で複数認証が可能なCompound認証にも対応するなど、セキュリティ性能も高い製品だ。
本事例では、庁内LANのエッジスイッチとして、ファンレスによる静音性を活かし、且つオプションのマグネットシートを使用したスチールデスクへの設置などが行われている。拠点で本機器が使われている場合は、拠点スイッチとして配下に置かれたハブやプリンターなどを集約する役割で設置されている。

▲拠点スイッチとして設置された「DGS-3000-20L」

エッジスイッチを高速化し、将来的なネットワーク負荷に備える

本庁LANを高速化した経緯とは

 中核市に指定されている岡山県倉敷市は、職員数も約3,500名と全国でも大きな自治体の一つだ。情報政策室の林氏によると、倉敷市ではネットワークの更改事業を二つの事業に分けているという。一つは主に建物の中のネットワークにあたる庁内LAN更改事業。もう一つは、支所や小中学校、公民館、消防署など約280拠点をつなぐ拠点間ネットワーク更改事業だ。この2つの更改事業は6年おきで実施されており、また実施時期は3年ずつずらしているという。直近の入札では、2023年度の庁内LAN更改事業では「DGS-3000-20L」が451台導入され、2020年に行われた拠点間ネットワーク(当時はかわせみネット)の更改事業では、「DGS-3000-20L」が350台導入された。
ネットワーク更改の目的として、「機器の老朽化に伴う更新もありますが、特に本庁ネットワークの入れ替え前の機器の大半が100Mbps対応のスイッチでした。ギガビットネットワークが一般的になっていること、そしてギガビットスイッチの導入によってネットワークの高速化を図るため、今回の調達仕様に反映させました。」と林氏は語る。
 倉敷市の庁内LANで以前使われていたのは、D-Linkの100Mスイッチ「DES-3200-18/T」だったそうだ。林氏はギガビットスイッチに更改した理由について、「この機器のアップリンクは1Gbpsなのですが、ダウンリンクは100Mbpsでした。100Mbpsでもそれほど困ってはいなかったのですが、やはり業務でネットワークを使うことが増えてきていましたし、今後を考えると高速ネットワークを使えるようにしておく方がいいだろうという話になり、今回の入れ替えでギガ化する方向で固まりました。」と当時の経緯を語ってくれた。

岡山県倉敷市
企画財政局 情報政策部 情報政策室 主幹
林 岳生 氏

運用開始後はほぼトラブルなく運用

 倉敷市のネットワークは、大きくはコアスイッチ、フロアスイッチ、エッジスイッチと3階層で考えられている。その中で「DGS-3000-20L」はエッジスイッチに該当しており、各フロアに設置されている。職員が使用するPCやプリンターといった機器を「DGS-3000-20L」の配下に接する構成をとっている。このように職員のデスク近辺に置かれていることから、エッジスイッチの要件としては特に静音性が求められ、ファンレスであることは必須としたそうだ。
 また、マグネットで机などに固定できることといった要件も重要視していたという。D-Linkではマグネットシート「DMG-SH1」を提供しており、林氏からは、「マグネットシートは大変活用させていただいていて、本当に簡単に机に貼りつけられるので、すごく便利です。足の部分にマグネットをネジ止めしてくっつけるという製品はよくあるのですが、シートタイプは融通が効きますね。」と好評だ。
 ネットワークの更改後、トラブルもなく安定して動いている点も評価が高い。林氏は、「今回の更改でも機器のトラブルは無いですね。機器の故障なども起きてはないと認識をしています。これまでもD-Linkの製品は使っていますが、トラブルや故障は少ない印象です。」と語る。
 2023年度の本庁LAN更改では、ポートの構成が変わったことによる苦労もあったという。入れ替え前に使っていた「DES-3200-18/T」は、10/100BASE-TXが16ポート、1000BASE-Tポートが1ポートの計17ポートが使用できる構成で、100BASE-TXの1~16ポートをダウンリンク、1000BASE-Tの17ポートをアップリンクとして使っていたそうだ。
 ただ「DGS-3000-20L」は1000BASE-Tが16ポートとSFPが4スロットという構成のため、更改にあたってポート設計を組み直す必要があったという。受託事業者とともにポート構成の見直しを行い、同じ種類のネットワークにはノンインテリジェント型のハブを併用して対応した。機器の入れ替え作業は業務時間後に行われたが、林氏は「受託業者が2人1組で確認しながら作業を行いました。ただそれでも400何台もあるとミスは出てきますので、更改作業初日は、翌朝に正しく通信できないことが数台ですがありました。」と話してくれた。確認手順の見直しを行うことで、以降はミスをすることなく更改することができたそうだ。

今後の倉敷市のネットワーク課題とは

 今後の倉敷市のネットワークのあり方についても、いろいろと考えているという。具体的に進んでいる話ではないと前置きはしつつ、例えば認証の導入や、無線LANなどの話があった。認証については、いずれはやってみたいと考えているが、仕組みなどを考えると一気に変えられない難しさもあると話す。また、倉敷市では業務での無線利用は許可されていないとはいえ、将来的に無線利用をどうしていくのかは課題だという。
 今後の「DGS-3000-20L」の使い方について林氏に伺ったところ、「基本的に色々なことが柔軟にできる機器ですので、例えば何かしらの要望があった時にも、機器の性能が足らないとか、機能がないからできないということは無いとは思っています。今後どんどんネットワークの利用が増え、負荷が上がっても、耐えることができると考えています。」と今後に期待を込めて話をしてくれた。

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