社会福祉法人 三恵会
医療・介護
昭和62年、社会福祉法人三恵会を設立し、翌年特別養護老人ホーム「三恵苑」を開設。平成18年には養護老人ホーム「富士見園」の運営権をさいたま市より譲受し、平成19年には特別養護老人ホーム「ひかわ」を開設した。ショートステイやデイサービス、在宅介護支援センターなども展開している。今回のネットワーク環境整備を契機に、本来の業務である介護に、よりいっそう専念できる環境の構築を進めている。
〒331-0077 埼玉県さいたま市西区大字中釘2219-4
特別養護老人ホームの全室を無線LAN化。
入居者と家族のオンライン面談をはじめ、
ペーパーレス化による業務の効率化を目指す。
埼玉県さいたま市の社会福祉法人三恵会は、コロナ禍での入居者と家族のオンライン面談の実現や、iPadなどIT機器・ソフトウェアを活用した従業員の業務負担の軽減を目指していた。そこでD-Linkの無線LANアクセスポイントDAP-2610を数十台とPoE給電用のL2スイッチDGS-1210-10MPを導入し、特別養護老人ホーム2施設のネットワークインフラを整備。合計160の部屋ですべて無線LANが使えるようにするとともに、ペーパーレス化など業務でのデジタル活用を進めるための基盤を構築した。
<POINT>
無線LAN敷設のため、実地検証して価格性能比の高い最適な構成を提案
業務の効率化、オンライン面会や新たな入居者サービス向けの基盤を構築
優れた管理機能とパートナーによる充実のサポートで、障害対応も安心
業務効率向上、入居者と家族の安心を目指し、無線LAN導入を決断
社会福祉法人三恵会は、特別養護老人ホーム「三恵苑」と「ひかわ」、さいたま市から運営権を譲り受けた養護老人ホーム「富士見園」の3施設を運営するとともに、デイサービス、在宅介護、地域包括支援センターの事業も展開。施設利用者の健やかな生活の維持に努め、利用者の家族をサポートしている。
法人全体の運営を担当する皆川 慎一郎 氏は、デジタル化によって業務を効率化したいと常々考えていた。
「手書きでの報告書作成など、介護業界のアナログ的な古い体質を少しずつ改革したいと考えていました。職員が本来すべきは介護業務であり、その質を高めるには、デジタル化によって事務作業などの負担を軽減しなければなりません。また、コロナ禍で施設に来られない入居者のご家族とのオンライン面談も提供したいと思っていました。その第一歩として、ネットワークを整備し無線LANを導入したいと考えていたのですが、施設も大きく、予算も限られる中、なかなか踏み切れませんでした」
そんな皆川氏の背中を押したのが、コロナ禍と国の補助金だったという。社会の生活様式が大きく変わっていく中で、三恵会でも入居者とその家族へのより良いサービス提供と、デジタル化による職員の業務効率向上のために無線LAN配備の具体的な検討することにしたと皆川氏は語る。
皆川氏は、三恵会が導入している介護記録ソフトやサーバーなどのITインフラを十数年にわたってサポートしている日興通信株式会社(以下、日興通信)をはじめ、数社に見積もりを依頼した。対象は特別養護老人ホーム「三恵苑」と「ひかわ」の2施設で、三恵苑30室、ひかわ130室の合計160室。皆川氏が依頼にあたって重要視したのは、金額面もさることながら、各居室や会議室、オフィスまで全室でくまなく無線LANが利用できることだった。
D-Linkの現地調査に基づいた、価格性能比の高い提案
三恵会からの依頼に対して日興通信は、D-Linkの製品を提案することにした。
「D-Linkの製品は他のお客様にも多数導入させていただいており、信頼感もありました。今回も相談すると、D-Linkは電波強度の測定などで親身に相談にのってくれて、全室で確実に無線LANが使えるよう必要な台数を算出することができました」と話すのは、このプロジェクトを担当した日興通信 埼玉支社 営業部 第二営業課 リーダーの山川 敦史 氏だ。
その調査に基づき、日興通信とD-Linkは、無線LANアクセスポイント「DAP-2610」と、給電装置としてPoE+対応のレイヤ2スマートスイッチ「DGS-1210-10MP」を、それぞれの施設に最適な台数と構成を提案。三恵会では、理事会で各社からの提案を吟味のうえ、日興通信とD-Linkの提案を選択し、第三者機関である評議委員会での承認を得て、2020年の秋に正式に採用が決まった。
D-Link製品が選ばれた決め手は、その価格性能比だ。提案を依頼した日興通信以外のベンダーは、現地調査をすることなく要件のみから見積もりを算出しており、コスト面でも大きな開きがあったという。また山川氏は、コスト面だけでなく、数十台の機器を一元管理できる仕組みにも今後大きなメリットが生まれるだろうと話している。
新型コロナウイルス対応などで多忙を極めていたこともあり、実際に無線LANが導入されたのは2021年7月のことだ。設置自体は、日興通信側での事前のキッティングもあり、配線に1~2日、設置に1日と短期間でスムーズに完了した。
デジタル化の下地づくりができ、
業務効率化、入居者サービスに活用
導入効果について皆川氏は「デジタル化の下地づくりができたので、現在はオンライン面会をどう運用していくか、またiPadを使った介護記録のペーパーレスなどについてスタッフと話し合っているところです。テレビ会議システムも導入し、各施設の面々とオンラインで会議できるようになりました。また、無線LANの使用を希望されている方もいたので、ちょうどよいタイミングで導入できたと思っています」と、導入後の効果を話す。
予想外の効果もあった。iPadを介護記録だけでなく、入居者のレクリエーションにも使えるようになったことだ。従来使っていたカラオケ機器の代わりに、iPadでインターネットにアクセスし、オンラインでカラオケを楽しめるようになった。これをきっかけに、介護に携わるスタッフも、入居者をどう楽しませるかを考えるようになったという。
しかし、iPadなどのデジタル機器やITツールを業務で活用したいという意欲の高いスタッフがいる一方で、従来業務からの変更に戸惑いを覚えるスタッフがいるのも事実だ。皆川氏は「ITツールの利用によって業務効率が高まることで、職員も楽になります。これからは、IT活用をするうえでの教育が課題になってくると思います」と話す。
ペーパーレス化を進め、
より介護に専念できる体制を目指す
パソコンやITには詳しい皆川氏だが、無線やネットワークの専門知識は持ち合わせてはいない。そのため、D-Link製品の遠隔管理や、何か問題が起きた場合も迅速に駆けつけられるという日興通信のサポートに大きく期待している。また将来のIT環境整備のためにも、インフラまわりをワンストップで対応する日興通信が果たす役割は大きい。
山川氏は「D-Linkの製品は、不具合が生じた際の管理面でも信頼が置けます。三恵会様から『ITに関しては日興通信に聞けば解決できる』という信頼を寄せていただけるよう、これからも努力していきます」と話す。
ネットワーク環境の基盤を整備できた三恵会。2022年にはペーパーレス化を達成したいと、皆川氏は語る。
「無線LANをはじめIT導入の本来の目的は、現場の職員の主業務である介護に集中できる環境を整えることであり、介護以外の業務にあまり時間をかけてほしくないのです。ツールを活用することで、皆の業務が楽になるのは間違いないので、少しずつでも教育を進めていきます」
D-Linkの製品によって、業務の効率化と施設利用者の安全、利用者家族の安心のためのネットワークの土台をつくりあげた三恵会。これを基盤として、これからも着実にデジタル化が進んでいくに違いない。
関連製品