長崎大学医学部・歯学部附属病院

医療・介護

長崎奉行所に安政4年に開かれた医学伝習所に出自を持ち、150年余りの歴史を持つ。地域への先端医療サービス提供と世界に向けた医学研究を続けてきた。多数の離島を持つ地域的特徴を背景に、離島やへき地医療にも力を入れている。平成20年に開院した新病棟を皮切りに、現在病院施設の再開発を進めている。再開発が完了する平成25年には、より高度な医療、研究環境を実現する。

〒852-8501 長崎県長崎市坂本1-7-1

安全で質の高い医療サービスを目指してネットワークにD-Linkのスイッチを
採用した新病棟が長崎大学病院に完成

常に先端医療を行なう大学病院において、信頼性の高いITネットワークは欠くべからざるものとなっている。診察や研究に利用する端末まで膨大なデータをストレスなく配信し、なおかつ患者の個人情報を守るための高いセキュリティを確保しなければならない。ネットワークに求められる高い要求をクリアするため、長崎大学病院では新棟建設に伴い新ネットワークを構築した。D-Linkのスイッチ群、無線APを採用し、エッジにいたるまでセキュリティを高めたインテリジェントなネットワークだ。

<POINT>

  1. 高帯域を確保可能な10Gbpsアップリンク

  2. OSやソフトを問わず医療機器でも利用可能なMACアドレス認証

  3. エッジスイッチでの認証による未登録PCの接続拒否

増えるデータ量高まるセキュリティへの要望

長崎大学病院では、新病棟建設に伴い新たなネットワークの構築を行なった。要件は大きくふたつあった。ひとつは広帯域を確保すること、もうひとつは高いセキュリティを実現することだ。
「医療の高度化により、ネットワークを流れるデータはどんどん精細度を高めています。データ量は増加の一途をたどり、しかもそれらのデータを診察室をはじめとあらゆる場所で参照できなくてはなりません」
広帯域が求められる背景について、長崎大学の副学長であり長崎大学病院医療情報部長を務める本多教授はそう解説してくれた。
CTスキャンなどの画像は1枚で数十MBのファイルサイズが普通となり、3D情報を処理する機器も出始めている。今後もデータ量が増加し続けることは間違いない。さらに、電子カルテがアプリケーションとして成熟してきたことも、速度が求められる要因のひとつだと本多教授は言う。発展途上期においては機能追加に注目されていたが、ほぼ必要な機能が揃った現在はレスポンスにユーザの意識が向いているという。また、電子カルテのデータを含めて医療情報はほとんどは保護すべき個人情報だ。万一情報が漏洩すれば、患者に不利益が及ぶ可能性がある。さらに、利便性拡大のために無線LANの導入も決められていた。有線LAN、無線LANを含めてセキュリティを確保し、なおかつ高速なデータ配信を実現すべく、新ネットワークは計画された。

認証スイッチでエッジまでセキュリティを確保

機器選定は、インテグレータであるNTTコミュニケーションズの協力を得ながら進められた。選ばれたのは、D-Linkのスイッチ群だ。フロアスイッチには高速なアップリンクに対応した製品を使用し、フロア間を10Gbpsで結ぶ。スタック構成にも対応しているので、ポート数や帯域の拡大にも柔軟に対応可能だ。セキュリティ面では有線 L A N、無線LANともにMACアドレス認証が採用された。エッジスイッチにも認証機能を持つ製品を選択することで、MACアドレスが登録されていない端末ではネットワークに接続することもできない仕組みになっている。ネットワーク機能を持つ医療機器なども、MACアドレス認証であれば利用できるため、すべての機器のセキュリティ状態を一律に管理できる。またD-Linkのエッジスイッチは1ポートで複数の端末を認証できるため、島ハブ構成でも正常に認証、ネットワーク接続が可能だ。
ネットワーク自体の構成は電子カルテなどの医療情報を取り扱う業務系ネットワークと、研究のための情報を取り扱う研究系ネットワークのふたつのレイヤに物理的に分かれている。研究系ネットワークはインターネットに接続され、自由度も高い。一方業務系のネットワークはクローズド構成とし、セキュリティを優先した設計になっている。完全に切り分けることで、万一ウィルスなどの脅威にさらされたとしても、影響範囲を最小限に抑えられる。

安定した高速ネットワークが医療サービスを向上させる

新しい病棟は、2008年6月から利用されている。同時に新ネットワークの利用も始まった。長崎大学病院医療情報副部長の松本准教授は通信速度、安定性ともに高いと評価する。
「10Gbpsという高速なネットワークですが、利用開始からこれまでの間にトラブルらしいトラブルはありませんでした。安全で安定していることは、ネットワークにとって最も重要です」
高速なネットワークが整備されたことで、これまで以上に情報を活用していこうとする動きも出てきているという。
「情報を一元管理するデータウエアハウスを構築し、電子カルテに大量に蓄積されたデータ間のクロス集計等により、様々な業務データを抽出するとともに、臨床研究や経営指標としても利用すべく開発中です。」
将来の抱負を、本多教授はそう話してくれた。高速ネットワークインフラは、医療現場の効率だけではなく質の向上にも貢献していく。セキュリティ、広帯域の双方を満足する今回のネットワークを、長崎大学全体のネットワークのモデルとしたいという教授の言葉には、D-Link製品を使った今回のネットワークへの満足感がにじんでいた。

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