株式会社栄電子
製造業
1971 年に創設された、東証スタンダードに上場する電子部品総合商社。電源やコネクタなどの電子部品や電子機器の販売を主な事業としており、納品先の50%以上は半導体製造装置メーカのサプライヤが占めている。東京都千代田区に構える本社を筆頭に、全国に10 拠点を展開( 写真は本社)。企業理念に「お客様の役に立て」を掲げている。
東京本社
〒101-0021 東京都千代田区外神田2-9-10
山梨営業所
〒407-0015 山梨県韮崎市若宮1 丁目7-7
国産の半導体製造装置の組み込み機器にD-Link のギガビットL2 スイッチが採用
世界的な供給体制で深刻な半導体不足に対応
2022 年、世界的な半導体需要の拡大で「半導体製造装置」の出荷数が急増している。
そんな状況で発生した問題が、半導体製造装置に使われる「組み込み機器」の未曾有の納期遅延だ。半導体不足によって、組み込み機器の製造ができない状況が続いたという。納期の長期化が深刻になった機器の一つとして、L2 スイッチが含まれていたそうだ。しかし、その一方でD-Link のギガビットレイヤ2 Easy スマートスイッチ「DGS-1100V2 シリーズ」は世界的な供給体制で十分な在庫を確保し、国産の半導体製造装置の組み込み機器として採用された。従来納品していたL2 スイッチからD-Link のL2 スイッチDGS-1100V2 シリーズに切り替えた経緯について、某半導体製造装置メーカのサプライヤ企業の1 社である電子部品総合商社 株式会社栄電子のご担当者に話を伺った。
<POINT>
深刻な半導体不足の中で急増した半導体製造装置の組み込み機器の受注にも対応するD-Linkの世界的な供給体制
半導体製造装置用L2 スイッチは機能の多さより安定稼働を重視
1 台1 台シリアルを登録を必要とせず、長期のサポートを受けることができる製品保証制度
半導体製造装置の組み込み機器として長らく納品していたL2 スイッチが突如供給停止に……。
D-Link のL2 スイッチに置き換えられたおかげで、供給不可という最悪の事態を回避できた。
5 年間納品していたL2 スイッチがコロナ禍で突然入荷できなくなった
1971 年に創設された電子部品総合商社の株式会社栄電子。電源やコネクタといった電子部品を多数扱い、納品先の50%以上が半導体製造装置メーカのサプライヤを占める。1980 年代から半導体製造装置へ携わってきた老舗だ。近年の半導体需要拡大に伴って半導体製造装置の出荷数が増え、栄電子への発注も増加しているそうだ。しかし、そうした中で起こった問題が、半導体製造装置に組み込まれる機器として使われているL2 スイッチの在庫不足。その時の状況を、栄電子担当者はこう振り返る。
「某半導体製造装置メーカ様のサプライヤ様へ5 年間納品していたL2スイッチが、コロナ禍になって急に確保できなくなってしまいました。理由はL2スイッチのメーカが、半導体不足によってL2スイッチを必要数生産できなくなってしまったためです。半導体製造装置は1 日稼働できなくなってしまうと工場に相当な損失が発生するため、すぐに同じ機器を用意する必要があります。それを実現するために、ラストバイの最低6 か月前には製品仕様の変更を連絡する決まりになっているのですが、今回はそういった連絡もなく突然入ってこなくなってしまった。こういったことは通常起こらないので、かなり切迫した状況でしたね」
従来サプライヤに納品していたL2 スイッチの欠品を受け、栄電子担当者は代わりのL2 スイッチを探すことになる。今まで取り引きのあったネットワーク機器メーカに声をかけていくのだが、半導体不足の影響はすでにネットワーク機器メーカ各社に波及しており、欠品が許されない本案件への納期回答は得られなかったという。こうした事情から新規取引となるメーカを片端から探し、ついに現実的な納期回答を得られたのがD-Link のギガビットレイヤ2 Easy スマートスイッチDGS-1100V2 シリーズだったと栄電子担当者は語ってくれた。
十分な在庫数をはじめ、スペックも求めていたものであった。
「DGS-1100V2 シリーズの性能や筐体サイズは、従来のL2 スイッチと同様の要件を満たし、そのままリプレイスが効く製品だったんです。かつ在庫に余裕があるということで、検証機を2 台購入しました。その2 台を某半導体製造装置メーカ様に品質評価していただき、すぐに使用許可が下りたんです」
半導体製造装置用スイッチに求めるのは機能性の高さより安定した動作
半導体製造装置といってもシリコンの薄膜を堆積する装置や、現像液を塗布する装置、半導体を洗浄する装置……などその種類はさまざま。「いくつもの工程を複数の半導体製造装置に分担させて、ライン生産方式で1 つの半導体が製造されているんです」と、栄電子担当者が説明してくれた。DGS-1100V2 シリーズが組み込まれているのは、半導体製造ラインの川下に位置する検査ユニットだ。5 つあるセルそれぞれにDGS-1100V2シリーズが組み込まれており、各スイッチの親機としてもう1 台DGS-1100V2 シリーズを用意し、5つあるセルのデータを集約している。各セルのDGS-1100V2 シリーズ配下には、産業用PC やPLC( プログラマブルロジックコントローラ) をはじめとする多くの機器が、DGS-1100V2 シリーズにつながれている。検査ユニットで使うL2 スイッチの要件について担当者に尋ねた。
「とにかく安定して動くことが最重要です。今回は検査ユニット内の機械をネットワークでつなぐ役割で使用しているので、ここが正常に動作しないと検査ユニット内の各所に影響が出てきます。そのためL2 スイッチ選定は機能性の高さより、動作の安定性を求めているのです」
シリアル登録なしで保証サポート可能は産業用機器の組み込みではありがたい
既に同シリーズが組み込まれた半導体検査ユニットは多数出荷されており「現在まで問題なく動作している」と担当者も安堵の表情だ。緊急性のある案件だったとはいえ、信頼できる製品であるとしっかり見定めて選定したと担当者は話す。
「ワールドワイドで販売されているD-Link の製品は一定のクオリティが担保されているはずなので、選定にあたって安心感がありました。とはいえ、半導体検査ユニットでの使用に耐えうる製品であることの見極めは欠かせません。当然ですが、某半導体製造装置メーカ様に品質評価していただくためには基準を満たす製品でなければ、当社から検証機を提出できませんから」
D-Link の製品保証制度も、産業用機器への組み込みに適していると担当者は続ける。
「製品1 台ごとにシリアルを登録せずとも、保守サポートを受けられるのはありがたいです。同じ製品を数百台と納品することになるので、それをすべて個別に登録するのは現実的ではありません。過去にそういった事例で問題になった組み込み機器もあったので、この体制は運用上工数が少なく助かりますね。今後も某半導体製造装置メーカ様が安心して使用できる材料をそろえてもらって、継続的に販売していければと考えています」
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